松壽園SHOJUENMatcha Journal

Producers

生産者紹介

碾茶の香りは、覆下の日数と蒸しの一秒、石臼の回転に宿る。茶樹が根を下ろす土の履歴、品種選びの意図、そして碾茶工房のこだわりを、現地で何度も点て直しながら記録しています。

さみどりおくみどりうじひかり

京都府宇治田原町 · 南山城台地 · 約180〜240m

大久保碾茶工房

石臼の音で挽き上げる「宇治の緑」

土壌とテロワール

花崗岩風化の砂質壌土が混じる赤土系。排水は良好で、春の根活動が早い。窒素肥料の施用タイミングを厳密に管理し、覆下前の徒長を抑えてテアニン蓄積のピークを狙う。

碾茶・挽きの芯

蒸しは「芯まで通すが葉色を殺さない」温度帯に固定。冷却後、熱風乾燥と遠赤外の二段で葉の含水率を均一化してから貯蔵。碾茶は自社石臼のみで、外注に出すロットと香気の違いを毎年比較している。

目利きの視点

同じさみどりでも、大久保さんの碾茶は「香りの立ち上がりが静かで、口に含んだあとに一気に広がる」タイプ。石臼の回転を上げすぎず、粒子に角が残る設定に見えるが、薄茶ではその微細な角が泡の持続と一体になる。目利きとしては、濃茶で試すと粘度と旨味のバランスが如実に出る。

ごこうさえみどりつゆひかり

愛知県西尾市 · 平地型の大規模覆下 · 海抜 20〜45m

西尾碾茶倶楽部

西尾の「花のような碾茶」を、機械と手で整える

土壌とテロワール

沖積層の肥沃な黒ボク土。保水性が高く、春先の乾燥ストレスが少ないため、覆下後の葉は厚みを増しやすい。マグネシウムとカリウムのバランスが香気の「芯」に影響すると現場では語られる。

碾茶・挽きの芯

大型の自動覆下装置で遮光率を時間帯ごとに変え、陰影のグラデーションを人工的に再現。蒸しは短時間高温で青臭さを切り、直後に急速冷却。碾茶は気流式と石臼のブレンド比率を銘柄ごとに変える。

目利きの視点

西尾のごこうは、若手のバリスタ向け抹茶ラテでもよく使われるが、倶楽部のロットは「ラテにすると香りが負けない」点が際立つ。牛乳の脂肪が強いと抹茶の個性が潰れがちだが、ここは微粉の表面積と油分の相性がよく、飲み干した後に煎茶香が戻ってくる。